教育コーチのGです。
第13回徒然読書日記のお題は『尼崎』です。
私は現在、三重県四日市市に住んでいますが、生まれも育ちも兵庫県の尼崎市で、我が両親は今も尼崎に住んでいます。
かつて尼崎は、ぜんそく、地盤沈下、光化学スモッグなど、公害のまちとして全国にその名を轟かせて?いました。公園で見かける鳥も、カラス、ハト、スズメ、そしてせいぜいツバメぐらいでした(今では、ムクドリやヒヨドリなどの鳥たちも見かけるようになりました。四日市ではもっとたくさんの鳥種を見かけますが)。
そんな尼崎ですが、不思議と尼崎の出身者は「アマ」が大好きなんです。そして、尼崎が舞台になっている小説などを読んでニヤニヤするんですよね。
さて、尼崎を舞台にしている小説はたくさんある(実はそんなにたくさんは無いのかもしれませんが、こだわっているため、たくさん見つけてくる)のですが、その中でも特に4冊の本をご紹介したいと思います。
まず1冊目は「赤目四十八滝心中未遂:車谷長吉」、2冊目は「白い巨塔:山崎豊子」、3冊目は「あまりかん。:高須光聖」、最後に「幻の光:宮本輝」です。
尼崎を抜きにしても、ぜひとも読んでいただきたい作品たちですが(というよりも、尼崎抜きで有名な作品がほとんどですが)、特に「赤目四十八滝心中未遂」は昭和40年代の阪神尼崎や出屋敷界隈の猥雑な雰囲気をリアル(実態以上にひどく?)に描写した名作(直木賞受賞作)です。
「白い巨塔」では、貧窮した労働者の住む町が尼崎で、貧しい長屋に住む人を夙川に住む主人公の財前と対比させた描写がなされています。
「あまりかん。」はダウンタウンの幼馴染の放送作家が、その幼少時代から高校時代までを綴ったノンフィクション作品です(作者と私は出身高校が同じです)。私の知っている尼崎にいちばん近いのはこの本の風景です(ただし、他のお三方の本に比べると、引き込まれるというほどの本ではない)。
最後に「幻の光」です。宮本輝は尼崎を舞台にたくさんの小説を書いていますが、この本は初期の作品で、やはり、阪神沿線で貧しく生きる人々を描写しています。
どの本の尼崎も、あまりいいイメージとはいえませんが、それでも(それだからこそ)アマを故郷に持つ人々の心に響いてくるんです。
みなさんにも、生まれた町、育った町、またそれ以外の町かもしれませんが、こころの故郷があるのではないでしょうか。もし、故郷を遠く離れて暮らしているのなら、また、いまも生まれ育った町に住んでいるとしても、幼き日の思い出や古き良き故郷の町並みを思い出しながら、自分自身の歩んできた道を振り返ってみるのもいいかもしれません。