3月10日(水)埼玉県県公立高校後期入試の合格発表があった。
関東には珍しく発表前日から雪が降り、10センチほど積もっていた。
当日雪はやんでいたが、足場の悪い中を子供達は発表を見に行っていた。
今年の埼玉県の入試は大きな改革があり、
受験生にとっては過酷な入試となった。
特に後期入試は、昨年までの入試と全く逆になり
定員が少なく倍率が下がらない。
多くの子供達が前期で合格し、卒業式間近の学校では大いに盛り上がっていただろう。
その中で後期まで残っている数少ない子供たちが一緒に学校生活を送らなければならない。
その15歳達はどんな気持ちだったのだろうか?
A君も前期で不合格になり、後期まで残ってしまった生徒だ。
どうしても、どうしても、どうしてもB高校に行きたかった子だ。
後期入試は厳しいから、ランクを下げて安全校を受けるようご両親は勧めた。
私たちは本人に任せることにした。
その結果、彼は志望校を変えなかった。
そして10日、発表だった。
私たちは塾で彼らを待った。
結果はネットで既に分かっていた。
A君は・・・『不合格』だった。
発表後少したって彼が塾に報告に来てくれた。
融けつつある雪の道を苦労して自転車で来てくれた。
泥のついた雪を車から飛ばされたのか、白いウィンドブレーカーが少し汚れていた。
彼が入口を入った。
我々と目が合った時、初め引きつったような照れ笑いをした。
しかし、その直後つけていた眼鏡を取り、持っていたタオルで顔を覆って泣き出した。
声を上げて泣き出した。
苦しかったろう。悔しかったかったろう。
周りの友達が合格している中で辛かったろう。
でも、最後まで自分の信念を貫いた君を誇りに思う。
そう伝えたかったが、安易な慰めは出来なかった。
ただ、肩を抱きそばに寄り添ってあげることしか出来なかった。
今、彼はこの現実を受け止めている。
今、この悔しさを心に沁みこませている。
ひとしきり泣いたあとで話をした。
思い切って聞いてみた。
「受験どうだった?」
少し間があって、
「辛かった・・・。でも、やりがいがあった。」
「悔しかったけれど妥協しなかったことを後悔はしていない。」
この経験は彼の人生に必ずプラスになると確信した。
我々も救われたような気がした。
4月から彼は高校生になる。
第一志望の高校ではなかったけれど、
胸を張って素晴らしい高校生活を送って欲しいと心から願う。
13日は祝賀会だ。
A君も来てくれるという。
今度こそ気兼ねなくみんなで大いに盛り上がろう。
ぬかるみとなっていた道路の雪もすっかり無くなっていた。
15の春はすぐそこに来ている。
長文最後まで読んでいただきありがとうございます。
想いを伝えたかった。