正直は最大の戦略ということを30代で知りえた彼は、自分をさらけ出すことをあまりいとわなくなった。そのことで得たものは落ち着きと自信である。
「自分のことをさらけだしすぎ、相手を考えて話さないと。」
と忠告する女性の部下もいた。それからは言い方には気をつけるようになった。でも、出さないのではなく、相手に応じて表現を変えるのである。
この世界は時間も空間も同じ次元としてあるのだ、ということと私たちがある特定の意識を持って生きている時に出くわす現象は関連があるのだろうか。強く問題意識を持って考えているとヒントになるような事象やら、解答に出会うことが多い。強く願えばかなう、とか、そんな現象である。
正直に生きること、さらけ出すことは彼にとって誠実に生きることにつながる、そう考えているのである。世渡りをうまくやるためには、時には嘘をついたり、脅したり、いろいろとやらないといけないのかもしれないが、それを彼はやらない。
誠実に生きるとは社会規範に従っていくこととは限らない。自分を信じて生きることの意味に近い。ゆっくりと歩いてきたのである。だから今でも自分の成長を信じられる。