超介です。般若心経(本)、エジプト展でのスカラベから先人の心を想いました。
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「空」とはむなしい、という意味ではなくあること、ないことを包括する概念である。
色(あること)と無を超える思想である。
空包摂色 (くうほうせつしき):空は色を包み込む
空包摂無 (くうほうせつむ) :空は無を包み込む
(苫米地英人 「超般若心経」より)
人は困難を乗り越えるために祈る、不幸な出来事に対し覚悟を決めて祈る。
7世紀の中国、僧玄奘は西域に向かった。天変地異、あるいは妖怪などの行く手を阻むさまざまな困難に対し、「般若心経」を唱え進み、母国に仏陀の教えの経典を持ち帰るというミッションを果たした。
彼には使命があった。ぜひとも果たしたい役割があった。そのために天竺をめざし進む、一歩進むたびに使命達成にちかくなる、そう感じた。困難は「空」(だから惑わされない)という立場に立つこともできた。
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今から3500年ほど前のエジプトの遺跡から「スカラベ」が出土している。それは死者の心臓の位置におかれていたという。スカラベは復活の神の象徴であるらしい。
小学生の頃、ファーブル昆虫記で「ふんころがし」(スカラベ)を知った。半世紀ほど後、エジプト展でスカラベを見て、それが「ふんころがし」であることに驚いた。団子を転がし移動するさまが、古代人には太陽を操ることの象徴に見えたらしい。天空をかける、羽のついたスカラベも出土している。
:当時の人々が生きたのは、古代国家社会の階層構造やら、天変地異、他民族との戦争等々、現代と比較できないほどの障害がたくさんあった時代であった。スカラベは、その人たちを鎮魂した。光沢を放ち、質感のあるスカラベを造型し、死者の胸に布置して復活を祈った。
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彼らは困難を前に、心を鎮め、自由を取り戻し、選択的に生きようとした。般若心経とスカラベからは、そのような先人の熱く、激しい心の動きがみえる。