教育コーチのGです。
第37回の読書日記は 【きことわ】著者:朝吹真理子 新潮社
です。
この本は、御存知のように平成22年度下半期(第144回)芥川賞の受賞作品です。
作者の朝吹さんは、
「父は詩人・仏文学者の朝吹亮二、祖父は朝吹三吉。曾祖父は実業家の朝吹常吉と元衆議院議長の石井光次郎、高祖父は実業家の朝吹英二と陸軍軍人の長岡外史、元立憲政友会正統派総裁の久原房之助。翻訳家の朝吹登水子とシャンソン歌手の石井好子は大叔母にあたり、ノーベル化学賞を受賞した野依良治は親族関係にある。」
という方のようです。
詳しくはwikipedia【クリック】
さて、小説のほうに移りましょう。
「きことわ」とは貴子と永遠子のこと。
幼き日の二人が、ともに過ごした別荘での出来事から始まり、
25年の歳月を経て再開するという設定です。
大きなドラマはありませんが、それなりに読ませる小説です。
不思議なのは、ごく簡単な言葉に対して漢字ではなくひらがなを使っている場合が多々あること。
一例をあげると、
【かつて自分の目がみたはずの出来事にひきこまれていた。なにかのつづきであるかのようにはじまっていた。】
とか
【ゆがんだ自分の像がうつっているだけなのだが、ちいさなころも、この食器棚の前を通ると、いまみている自分のすがたとおなじような、年をとった大人のすがたが映りこんでいるように思えた。】
などです。
このようなひらがな使いが、この小説の印象を形作る一部になっているように感じました。
さらに、繊細な情景描写や心象描写からは、読ませる力量を感じ取りました。
今後の活躍が期待される小説家なのだろうなと納得です。
ぜひ、ご一読ください。
そして、次回の読書日記は、
もうひとつの芥川賞作品「苦役列車」です。
お楽しみに。
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