教育コーチのGです。
第29回の徒然読書日記は
「ナイン・ストーリーズ」 著者:J.D.サリンジャー 訳者:野崎孝
です。
J.D.サリンジャーといえば、「ライ麦畑でつかまえて」(クリック)ウィキペディアへのリンクが有名(私は読んでいませんが)ですが、
今回は別の短編集のご紹介です。
この短編集、本の題からも分かるとおり、9つの短編からなっています。
まずは、「バナナフィッシュにうってつけの日」です。
まず題からして???ですが、一部を抜粋してみましょう。
【「あのね、バナナがどっさり入っている穴の中に泳いで入って行くんだ。
入るときにはごく普通の形をした魚なんだよ。
ところが、いったん穴の中に入ると、
豚みたいに行儀が悪くなる。
ぼくの知っているバナナフィッシュにはね、
バナナ穴の中に入って
バナナを七十八本も平らげた奴がいる」】
やはり、中身を読んでも???です。
次に「対エスキモー戦争の前夜」です。
これも題を見ただけでは???ですので、一部を抜粋してみましょう。
【「しかしね、ぼくは今後、
自分のことをこれっぽっちでも
人間がわかるなどど考えるのは止めにしたんだ。
ぼくがこう言ったこと、
他の連中に吹聴してくれてもかまわないよ。」】
う・ん、何らかの教訓でも含んでいるのかと思ってはみるのですが、
多分、そんなものではないんでしょう。
他の7つの短編もやはり、私には意味が不明です。
「では、何故、サリンジャーを読む?」
そう、そこです。
じつは、浜田省吾がベストアルバム「The Last Weekend」を発売しました。
このアルバムの1曲目が「僕と彼女と週末に」という大変印象的な曲で、
この曲のセリフの中に、
「週末に僕は彼女とドライブに出かけた。
遠く街を逃れて、浜辺に寝転んで
彼女の作ったサンドイッチを食べ、ビールを飲み、
水平線や夜空を眺めて、僕らはいろんな話をした。
彼女は、彼女の勤めてる会社の嫌な上役のことや
先週読んだJ.D.サリンジャーの短編小説のことを話し、
僕は、今度買おうと思ってる新車のことや
二人の将来のことを話した。
そして、誰もいない静かな海を二人で泳いだ。」
と出てくるんです。
この曲との出会いは、話せば長くなるので、またの機会に。
キヨシです。
いつか子どもたちに
この時代を伝えたい
どんな風に人がゆめを
つないできたか・・・
私も大好きな歌です。
あくる日僕は吐き気がして目が覚めた。
彼女もひどく気分が悪いと言い始めた。
それで僕らは朝食をとらず、浜辺を歩くことにしたんだ。
そしてそこで・・・その浜辺で・・・
とても奇妙な情景に出会った・・・
私、“小説”を読むと、その世界にどっぷりと浸かってしまいます。
サリンジャーには『フラニーとゾーイー』という小説があるのですが、
大学生の頃、それを読んでいてどうしようもなく気持ちが悪くなり、
途中で読むのを諦めてしまいました。
今もまだ本棚に、『ナインストーリーズ』の横に並んで、あります。
バナナフィッシュのくだりは
何かどきんとするようなイメージです。
誰かの夢でしょうか?
何がどきんとしたか、何をかんじたか
考えていて、まず
田舎で田んぼの横を流れる
小川の深みで、岩穴に手を入れて
ナマズに触った体験を思い出してしまいました。
(少し当たり前すぎる?)
魚が変化するところ、
これがなにかを象徴しているような気がします。